Q.荒井さん、どうしてそこまでこだわったんですか?
荒井
よく聞かれます(笑)。高いオイルだねーと驚かれますが、これだけこだわってみると、これでも採算度外視なんですよ。プロの料理人やオリーブを育てている方々に様子を話すと、皆さん大きく頷いて納得してくれます。
そして言われます、「よくそこまでこだわったね・・・」と(笑)。
Q.ボトルも遮光瓶ですよね
荒井
瓶に塗装を施してありますから、光は全く入りません。これは、オイルを使ってくださる方に対し、オイルの質を可能な限り長く守ってあげたい・・・という気持ちの現れです。オイルの質を保つことは、オイルが持つ様々な栄養素も守ってあげることに繋がりますから。
口に直接入るものです。出来る限りのことはしたいなと思います。
Q.香りってどう表現すればいいんですか?
荒井
ご自身の知っている香りで表現してみるのが一番いいと思います。
例えば、草の香りとか、青りんごの香り、トマトの香り、グレープフルーツの香りなどです。葉を手で潰して揉むととても青い香りがします。子供の頃の遊びの中で感じた香りもオリーブオイルの表現にはとても役に立つ香りがあると思います。
でも、まずは何も考えず香ってみてください。ふわ〜っと漂ってくる香りを心地よく感じていただければ、それが一番ですよ。
Q.畑はどこにあるんですか?
荒井 小豆島(香川県)にあります。起こり得る自然災害を考え、畑は複数の場所に分けています。ただ畑を分けるだけではないんですよ。品種によって育てる環境も考えています。
Q.いつ搾油するんですか?
荒井
オリーブの実の収穫は年によっても違いますが、私はポリフェノール含有量が高い若い実を摘むので、だいたい10月から11月です。
自社搾油所を保有しているので、収穫後すぐに搾油します。オリーブの実は他の野菜やフルーツと同様に、枝から離れた瞬間から劣化してゆきます。収穫から搾油までの時間を短くすればするほど品質を守れるので、自社搾油所を保有する必要があるんです。
Q.荒井さんにとってオリーブを育ててきた30年は長かったですか、短かったですか?
荒井
うーん・・・あっという間ですね(笑)。
オリーブの木は非常に長生きです。私の孫のまたその孫の代でも元気に育ち、実をつけていると思います。
オリーブの木は生きているんですよ。なので個性があるんです。画一的な育て方をして、個性を無視して一気に収穫する、そんなやり方ではオリーブの木はあっという間に傷んでしまうんです。
大規模な農園の場合、痛んだ木は治療もせずに抜いて捨ててしまうことがあります。そんな光景を見ると寂しくなります。時には厳しく、時には優しく、毎日オリーブの木たちと向き合っていると、木はまるで自分の子供のように感じてくるものです。決してそんなひどいことはできませんよ。
Q.荒井さん、最近は海外に行かれたとうかがいましたが。
荒井
先日、伊勢丹シンガポール店で、四国の特産物の紹介コーナーが設けられました。その際、香川県県産品振興課から出店を依頼されてシンガポールに行ってきました。
お買い物に来られた方も、そして著名な料理人も「これはウマイ!」と一言。直接この言葉を聞けるのはシアワセです。実の子供を誉められた気分です。
Q.最近では、畑へ足を運ぶ方が多いと聞きますが。
荒井
イタリア人料理研究家ベリッシモ・フランチェスコ氏がお越しになりました。
畑をじっくりと見ていただき、丁寧に育てているのが伝わったようです。嬉しかったですよ。何かの取材だったようですがー。
Q.アライオリーブ設立一周年おめでとうございます。
荒井 ありがとうございます。感謝の気持ちを込めて、2011年11月5日に一周年記念の収穫祭を開催しました。当日はあいにくの雨でオリーブ収穫体験はできませんでしたが、新油テイスティング、オリーブの種飛ばし大会、懇親会と盛り上がりました。参加してくださった皆さま、ありがとうございました。