神との逸話
オリーブの発祥については諸説あるのですが現在のトルコあたりと言われいています。オリーブの木は約8000年前には存在したといわれている、長い長い歴史を持った植物です。
紀元前3000年頃、風車を使ってオリーブからオイルを絞っていたという記述があり、古い時代からオリーブは人間にとってとても身近なものでした。
聖書の一説、『ノアの箱舟』の話をご存知でしょうか。この話の中にオリーブが出てきます。
ノアが作った箱舟は、東京にある有名なデパートたちよりもずっと大きなものだったと言われ、天からのお告げを受けたノアが動物たちと共に、大洪水が収まるのを待った、という有名な話です。
大洪水が終ったかどうかを知るために、ノアは何度かハトを舟から飛ばしたといわれており、最初すぐにもどってきたハトを見て洪水がまだ収まっていないことを知り、次に放したときは、ハトがオリーブの小枝を口にくわえて来たことから、嵐が収まってきたことを感じ、最後飛ばしたハトが舟にもどって来なくなったことから平和がよみがえったことを知ったそうです。
この話から、オリーブの木は平和を表すものとされています。
またギリシャ神話の中にもオリーブは登場してます。
女神アテナ(ローマ神話では女神ミネルヴァ)の伝説です。エーゲ海を望む美しい町、アテネの支配権を巡って対立していた女神アテナと海神のポセイドンに対して大神ゼウスは、『最も人々の役に立つ贈り物を贈った者に支配権を認めよう』と言いました。
海神ポセイドンは、馬を作り出しました。『馬は立ち姿は美しく、戦では良い働きをするので勝利を導き人々を幸せにする』と。
一方女神アテナはオリーブの木を作り出しました。『オリーブは闇夜を照らす光となり、傷みを和らげ、香り高く、そして口にすれば貴重な食料になる。』と。
大神ゼウス平和をもたらすオリーブの木を選び、そしてアテナをエーゲ海を望む美しい町アテネの支配を許しました。
こうしてアクロポリスのパルテノン神殿では女神アテナが守護神として祭られ、オリーブは『聖なる木』として各都市に広がったそうです。
文明に刻まれたオリーブ
逸話以外にも、オリーブは文明の中に姿を残しています。古代エジプト文明では壁画にオリーブの木や、オリーブを注いだ壷の絵が描かれていたり、メソポタミア文明で有名な法典、ハムラビ法典にもオリーブのことが刻まれています。
また、古代ローマ時代ではすでにオリーブオイルは一つの産業にまで成長しており、オリーブ畑の面積は大幅に拡大され、それに伴って圧搾式の機械も発明され、オイルの質による格付けもされていた記録が残っています。
最高級品から順番に…
- 淡い緑のオリーブから作られたもの
- 色づき始めたオリーブから作られたもの
- 熟したオリーブから作られたもの
- 地面に落ちたオリーブから作られたもの
- 虫に食われたオリーブから作られたもの
最高級品である淡い緑のオリーブ作られたオリーブオイルは、王侯貴族が食するものとされ、最下位品の虫に食われたオリーブから作られたオリーブオイルは、奴隷用だったようです。
オリーブの木を切り倒した者には処刑という罰が課せられ、オリーブの木は人々にとって手厚く守られていました。
オリーブオイルを取り巻く現状
1970年ごろからオリーブオイルの栄養価や健康への効果を科学的に検証する動きが活発になり、アメリカのミネソタ大学で行われたキース博士の研究は有名になりました。
1980年に入ると、オリーブオイルに含まれる脂肪酸と心臓疾患との関係が立証され、オリーブオイルはますます注目されるようになりました。
品質を維持するためにの収穫方法や搾油方法の見直しや改善がなされるようになり、オリーブオイルの消費は年々増え続け、そして生産量も年々増え続けています。
現在では、オリーブの木の栽培は世界的に広まり、近代的な設備が整った農園や、代々続く伝統的な手法を守り続ける農園、その両方を兼ね備えた新しい農園など、様々な農園が世界中に多数存在しています。それに伴い、品質にもばらつきが出てきています。
何をどこまでこだわるのかー。それぞれの農園が、それぞれの目標を持って日々オリーブの木と向き合っているのです。